私が20歳のときに買ってきた犬、
名前はチロル。
今日、2023年8月18日、亡くなった。17歳。
大往生だ。
老衰。穏やかな顔で、少し目を離した隙に息絶えていたとか。
仕事帰り、そう、つい先程。
母から連絡があり。
チロルは、あまり育てやすい良い犬ではなかった。
ただそれは、私に責任がある。
チロルは、とてつもない小心者だった。
私のせいで。
まだ赤ちゃんだったチロルを、車が絶え間なく飛び交う環状2号線沿いを散歩した。
車の音、とても怖かったと思う。
幼すぎる犬を散歩に連れてはいけないという知識を
当時の私は持っていなかった。
当時私が働いていた夜のお店にも、チロルを連れて行った事がある。ママやお姉さん達に可愛い子犬を自慢したかったのもある。
子犬のチロルはクラブの中を走り回り、お客のオジ樣やホステスの足元をくぐり、オジ様が何だこりゃあ!と驚いたことや、ホステスがキャーキャー騒いだこと、最終的にはママに連れて帰りなさい!と怒られ、私はチロルを胸元に抱きかかえ、パーカーのファスナーを締めた。胸元からチロルは顔だけ出していて、二人で電車で帰った。
電車の中で小さな声で鳴いていた。
最終的に実家にあげたけれど、私は沢山散歩に連れて行った。可愛いチロル。
チロルに思いっきり噛みつかれた歯の跡も今も残っている。確かチロルが遊んじゃいけないものを咥えていて、引っ張ったら噛まれたんだっけ。
今となっては噛み跡が宝物。
前述の通り、決してお利口な犬ではなかったけれど、私が一番辛いときに一緒にいてくれた犬。
お利口じゃないから追いかけたり、怒ったり、いつも世話が焼けた。
あれだけ手がかかる犬も珍しい。
20歳の頃、あの人生で最も辛い時期に私の涙は手がかかる犬のお陰で減った。
成犬になってから実家で笑うチロル。
年老いてから、私の膝の上で甘えるチロル
チロル、大好きだった。
私の涙を止めてくれて、ありがとう。
チロルは虹を渡った。
いつの日か私もチロルと同じお空に行くから、
そしたらまた沢山遊ぼうね。
一緒に虹の上を走ろうね。
チロルさよならの写真